うちの事務所の社長とはいろんな話をするのですが、その中で社長は時々『これって競馬でいうとどんな感じなの?』とか訊ねてきます。そこで昨夜の「世界フィギュア2007東京」を競馬に例えてみたりして・・・・。
昨年末の「ISUグランプリ・ファイナル」がそのシリーズの締めくくりとして行われるという意味で「ジャパンカップ」や「有馬記念」のようなものであると表現するなら、準備期間も充分にあり、フロック的要素がより少ないこの「世界選手権」は差し詰め、真の実力世界一を決める「凱旋門賞」と云えるかもしれません。
世界各国からエントリーされた46頭の牝馬の中で厳しいトライアルを戦い、実際にレースに出走する出来たのは18ヶ国の優駿24頭のみ。戦前の予想では前走「グランプリ・ファイナル」で1,2着した3歳馬「キムヨナ号」「アサダマオ号」に対して、前年の優勝馬である4歳馬「キミーマイズナー号」と同じ4歳でもこのところ堅実なレース運びで復調著しい「アンドウミキ号」いう構図。ハイレベルが予想された今回のレースではスタートから2コーナーまでの位置取りも重要視されていました。ところが“二強”と目されたうち、ロケットスタートを決めることが出来た「キムヨナ号」に対し、そのライバルである「アサダマオ号」はゲートを出たところで躓いてしまい、前半は先頭の「キムヨナ号」からは10馬身差の5番手という不本意な位置取り。代わって絶好枠から気持ち良く飛び出していったイタリア産馬「カトリナコストマー号」が「アンドウミキ号」に続く3番手、アメリカ産馬「キミーマイズナー号」は好位置4番手につけるという展開となりました。しかし調教師としても活躍する解説者の佐野稔氏の予想によると、4馬身以上のリードをとる「キムヨナ号」には腰痛という持病があり、ゴール前での伸び脚に一抹の不安があるとのこと。過去の後半のタイムを基準にすると一着は「アサダマオ号」、二着は「アンドウミキ号」ではないかと云う。
魔の4コーナーのカーブに差し掛かったところでレースは多く動き出しました。「カトリナコストマー号」が転倒落馬してしまうとその影響を受けたかの様な形で「エミリーヒューズ号」も落馬。そして「キムヨナ号」はコーナーを周りきれずに外へ振られ、セーフティかと思われていたリードを失くし、必死に立て直そうとするも伸びきれません。そのぽっかりと空いたインコースへ満を持して突っ込んできたのが「アサダマオ号」。二番手の「アンドウミキ号」と馬体を併せて直線の激しい叩き合いに。最後は二頭のマッチレース。前日の牡馬のレースで二着した「タカハシダイスケ号」、そして世界を制した「アラカワシズカ号」を育てた名調教師、ニコライ・モロゾフ氏を擁する「アンドウミキ号」陣営は直線で無理に馬場の悪いインコースではなく、芝状態の良いところを通るという作戦が見事に嵌り、上がり3ハロンを綺麗に34秒でまとめ、33秒前半のタイムで猛追してきた「アサダマオ」を半馬身差で押さえ込んで、ついに世界女王の栄冠を手にしました。
しばらくの間、この3強の戦いは続いてゆきそうですね。腰痛が完治した「キムヨナ号」、いつも通りのスタートを切る「アサダマオ号」、そして必殺技を繰り出した場面の「アンドウミキ号」。そんな状況下でのレースを観てみたいものです。しかし感動と驚きの連続で見応え充分のレースでございました。