池袋西武百貨店で開催されている「POP−UP絵本ミュージアム」へ行ってきました。そこではPOP−UP絵本作家、ロバート・サダブ&マシュー・ラインハートの初期の作品から最新作の「ナルニア国物語」「スター・ウォーズ」までが展示されています。
“POP−UP絵本”とは“しかけ絵本”のこと。確か、僕が小さかった頃の日本では“飛び出す絵本”とも呼ばれていたような気がします。割りと高価だったせいか、子供の頃の僕には残念ながらほとんど手にする機会のない代物で、じっくりと鑑賞したのは今回が初めてのようなものでした。
絵本自体が好きな僕ではありますが、“しかけ絵本”は通常の絵本とはまた一味違ったファンタジーを見せてくれます。言葉と絵で描かれたものが実際に目の前に迫ってくる驚き。それは二次元から三次元へと変化する「視覚的な効果」以上の働きかけがあるのだと感じました。つまり思考や精神性という部分での大きな広がりが自分の脳や心の中で起きているという感覚です。似たような経験は昨今のCGやSFXを使った映像などから受けられますが“紙”というシンプルで、しかも狭く限られた条件の中で起きているマジックという点ではそれらよりも衝撃的であり、さらに感動的でもあります。
彼らの代表作は童話として有名な「不思議の国のアリス」や「シンデレラ」。通常の絵本の形態でも充分に感動してしまうお話なのですが“しかけ絵本”という形になるとまた違った「おとぎの世界」があります。立ち読みではありましたが、新しいページをめくる度に訪れる新鮮な感動は果たして何処から来るのでしょう。
会場内ではVTRによる作者達のインタビューを観ることが出来ました。モニターからはクリエイターたちのほとばしる情熱と喜びが溢れていました。やはりこうしたものを作り出す人は心の中に大きなファンタジーの世界を持っているんだなとつくづく僕は感じました。その思いがそのまま作品になり、そして観る者たちの心を広い世界へと誘ってゆく。そんな世界です。
クリスマスのプレゼントとして絵本をお子さんに贈られる方も多いと思いますが、絵本は驚きや感動を忘れかけた大人たちにこそ読んでほしいと僕は思います。子供の頃思い描いた楽しい夢を心のキャンバスに描き、果てしないイマジネーションの世界に遊び、そして生きていることをもっともっと楽しみ喜ぶ。常に冷静に物事を処理できる大人も素敵なのですが、それ以前に、いつまでも心で遊べる豊かな人間でいたい、と強く思った今日の僕でした。