この作品は2000年10月からアメリカCBSで放送され、視聴率を記録したTVドラマシリーズです。当時のアメリカでは「ER」や「フレンズ」など超がつくほどの人気番組があったわけですが、この「CSI:科学捜査班」はそれらの番組と同じ時間枠での視聴率争いにおいてもしのぎを削っていました。日本では、その第一シーズンを2003年4月からテレビ東京で、第二シーズン以降をWOWOWで放送。
制作は「トップ・ガン」「アルマゲドン」「パール・ハーバー」「コン・エアー」「ビバリーヒルズ・コップ」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ブラックホーク・ダウン」「ナショナル・トレジャー」など話題作、大作映画のプロデュースで有名なジェリー・ブラッカイマー。
原題は「Crime Scene Investigation」。その名の通り「犯罪現場捜査」をする人々の物語です。一言で「科学捜査」と言っても日本とアメリカではこんなに違うのか、と驚かされてしまうくらいに「CSI」に出てくる最新の捜査方法は凄いのです。その一例として最新式の「嘘発見器」があります。皆さんのイメージにある従来のものというのは、質問に対して被疑者にはすべて「いいえ」と答えさせ、その時の脳波の揺れをもって嘘をついているか、否かを判定するものでしたが、そこには「動揺」というものを抑制できる精神力を兼ね備えた人には通用しないという弱点がありました。しかし「CSI」に出てくる最新式の機械というのは、事件現場の写真を被疑者に見せ、脳の血流だけを見て被疑者の記憶の中にあるものかどうかを判定するものなのです。つまり被疑者が事件現場にいったことがあるかが目に見えてはっきりしてしまうというわけです。これでは嘘のつきようがありません。
現時点での日米の捜査技術の差があるのは仕方の無いことなのかもしれませんね。何てったってアメリカは日本の科学捜査が始まる10年も前から積極的に活用しているのですから・・・・。それにアメリカでは殺人事件があれば即、現場に「CSI」が駆けつけます。日本で言えば「鑑識」なのでしょうが、その取り組み方、力の入れ具合からしてまったく違うような気がしてしまいます。一応、日本にも「科学警察研究所」という機関もありますが、都道府県警察、裁判所、検察庁などから「鑑定嘱託」を受けなければ実際には動かないらしいです。
しかし僕にとって、この「CSI」というドラマの面白さは、そうしたハイテクの楽しさだけではないのです。むしろそれらはほんの一部であるように思っています。いつの時代も道具はそれを使う人の心によって活かされ方が決まるもの。つまりハイテクを使っている人の心こそが、このドラマの面白さになっているのです。このドラマに出て来る人は完全に近い人たちではありません。僕らの回りにいるような一癖も二癖もあるような個性的な人です。また「科学オタク」と呼ぶに相応しい人も出てきます。実はそうした人たちの専門的知識や情熱が社会や人々を守っているのだ、というところが、このドラマに僕が惹かれてしまった理由なのだと思います。
ちなみにこのTVシリーズ。ラスベガスを舞台にした「CSI:科学捜査班」の他にスピン・オフとして「CSI:マイアミ」「CSI:NY」があり、現在も放映は続いています。最近ではレンタル店での陳列も豊富になってきているようなのでぜひ一度ご覧あれ。